シンポジウム・ワークショップ・公開講座

日韓がんワークショップ

第19回 日韓がんワークショップを終えて

2014年11月28、29日の2日間、韓国済州島のHyatt Regencyホテルにて、第19回日韓がんワークショップが開催されました。

プログラムオーガナイザー

日本: 牛島 俊和(国立がん研究センター研究所)
  大島 正伸(金沢大学がん進展制御研究所)
韓国: Dr. Eun Jung Park(National Cancer Center)
  Dr. Junho Chung(Cancer Res Inst, Seoul National University)

日本側からはがん支援の支援を受けた14名と厚労省側から参加の3名の合計17名が参加し、韓国側は国立がんセンター研究所、ソウル大学がん研究所を中心に24名が参加しました。13名の参加者による口演発表、および17名によるポスター発表が、済州島Hyatt Regencyのセミナー室にて行われました。日韓がんワークショップは、毎回、臓器別がんと重要トピックの二つのテーマで開催していますが、今年度は、「婦人科がん」と「新規診断技術・マーカー」のテーマでの開催となりました。Welcome Receptionでは、日本側から河上裕先生(慶応大)およびがん支援を代表して中村卓郎先生(がん研)から挨拶があり、韓国側からは国立がんセンター長のDr. Kang Hyun Lee、ソウル大学がん研究所長のDr. Yong-Sang Songからの挨拶があり、日韓双方でのがん研究について意見交換するなど、親睦を深めました。

婦人科がんの口演セッションでは、日本側からは河上先生(慶応大学)から、卵巣がんの免疫学的特徴を基盤とした免疫療法の開発について講演があったほか、勝俣先生(日本医大)、小井詰先生(神奈川がんセンター)、細野先生(愛知がんセンター)から、それぞれ卵巣がんの化学療法、シグナル制御、ゲノム解析について口演がありました。韓国側からも、卵巣がんを中心に、韓国における化学療法の現状や次世代シークエンサーを用いた最新の解析結果などが報告され、日韓双方での研究成果について情報交換が行われました。

新規診断技術・マーカーのセッションでは、近藤先生(名古屋市大)からcirculating tumor cell検出のDNAメチル化の話題、大木先生(国立がんセンター)から膵臓神経分泌腫瘍の個別化医療に向けたPHLDA3の研究成果、そして清宮先生(がん研)からG-quadruplexを用いたグリオーマの新規治療法開発に関する口演がありました。このセッションでは韓国側からも、circulating tumor cellを免疫組織学的に検出する新規技術や、イメージングによる早期がん検出の話題が提供され、こちらのトピックでも日韓それぞれにおける最新の成果について情報交換が行われ、休憩時間も熱心な議論が続きました。

ワークショップでは若手研究者を中心にポスターセッションも行われ、越山先生(京都大)から卵巣がんスクリーニングの国際的な比較について、重富先生(奈良県医大)から悪性化子宮内膜症の新規検出法について発表されました。また、高田先生(大阪大)からはCTOSによる子宮頸癌の分子標的探索について、藤岡先生(慈恵医大)からは新規抗体を用いた甲状腺がん検出について、二口先生(名古屋市大)から骨微小環境における腫瘍マーカーの探索について、そして三好先生(福井大)から赤外線イメージングによる新鮮組織を用いた腫瘍観察法についての紹介がありました。韓国側からのポスターは、若手研究者や大学院生を中心に卵巣がん発生における分子機構やmicroRNAの関与、可能性のある分子標的の探索についての発表があり、ポスター閲覧時間の2時間半の間、ほとんどの参加者がポスター会場にいて、日韓の研究者が入り交じって質疑応答が続きました。

これまでの日韓がんワークショップをきっかけに、共同研究や博士研究員の派遣などの人材交流がすすめられており、すでに研究成果が論文として発表されている課題もあります。今回のワークショップでも、あらたながん研究領域における日韓研究者の交流と情報交換が実現しました。今後、日韓両国のがん研究が共同研究を通してさらに発展する事を期待しています。日本側から参加して頂きました全ての研究者の皆さんと、韓国側オーガナイザーのDr. Eun Jung Park、および現地スタッフの皆さんに、あらためましてお礼申し上げます。

(文責:大島正伸)