ワークショップ

日独がんワークショップ

平成26年度 日独がんワークショップを終えて

2014年11月14日から16日までの3日間、ドイツ・ベルリン(Hotel Adina, Berlin)にて日独がんワークショップが開催されました。

プログラムオーガナイザー

日本: 石川冬木(京都大学生命科学研究科)
  大島正伸(金沢大学がん進展制御研究所)
ドイツ: Dr. Reinhold Schafer(Charite-Universitatsmedizin)
  Dr. Petra Boukamp(German Cancer Research Center)
  Dr. Klaus Pantel(University Hospital Hamburg-Eppendorf)

日本側からはがん支援の支援を受けた10名と厚労省側から参加の2名の合計12名が参加し、ドイツ側はCharite(ベルリン)、ドイツ国立がんセンター(ハイデルベルク)をはじめ全国から16名が参加しました。総勢28名の参加者全員による口演発表が、ベルリンのCharite敷地内に立地するAdinaホテルのセミナー室にて3日間にわたって行われました。また、特別講演として石川冬木先生とDr. Petra Boukampから、それぞれテロメアと上皮間質相互作用による最新の話題が、一般公開講演会として隣接するEmpress Friedrich Houseの歴史あるレクチャーホールで行われました。

Adinaホテル内セミナー室での発表会風景:柳井先生(左)、菊池先生(右)

今年の日独がんワークショップでは、「がんゲノム」、「がん幹細胞」、「炎症と免疫」、「細胞内シグナル」の4つのトピックスにフォーカスをあてたセッションが設定され、それぞれの分野で研究を推進する日独双方のがん研究者により、最新の知見が発表され熱い議論が交わされました。日本側からの参加者は、「がんゲノム」セッションでは中川英刀先生(理研)から肝臓がんのゲノム解析結果について発表があり、「がん幹細胞」セッションでは田賀哲也先生(東京医科歯科大)、後藤典子先生(金沢大がん研)からそれぞれグリオーマ、乳がん幹細胞の制御機構について講演されました。「炎症と免疫」セッションでは柳井秀元先生(東京大生技研)からがん細胞を攻撃する自然免疫について、石井優先生(大阪大医学系研究科)からはイメージングを駆使した最新の研究成果について、岡本康司先生(国立がんセンター研究所)から活性酸素シグナルとがん幹細胞について、そして大島(金沢大がん研)は炎症と消化器がんについての発表を行いました。「細胞内シグナル」セッションでは菊池章先生(大阪大医学研研究科)から管腔形成シグナル制御機構について、大野茂男先生(横浜市大医学研究科)から細胞極性に関する話題、大木理恵子先生(国立がんセンター)はp53標的のPHLDA3と発がん機構、そして高橋隆先生(名古屋大医学研研究科)からTTF1に関する研究成果が発表されました。一方でドイツ側からはゲノム関係とシグナル関係の発表が多くあり、特に、Dr. Roland Rad(ミュンヘン大学)によるトランスポゾンを用いた新規がん遺伝子探索技術開発や、Dr. Klaus Pantelによるがん患者におけるcirculating tumor cells(CTC)の最新の話題、またDr. Wolfgang Deppert(Heinrich-Pette研究所)からはまうすを用いた変異型p53のgain of function(GOF)機能に関する興味深い研究成果が発表され、日独研究者による多岐にわたる沢山の最新の研究成果を勉強するとても有意義な機会となりました。今回のワークショップをきっかけに日独研究者間の交流も深まり、人材交流や研究資源の相互利用について話し合われるなど、将来に向けて国際共同研究の発展が期待される国際交流事業となりました。
また、ワークショップの休憩時間を利用して、会場に隣接するルドルフ・ウィルヒョウ博物館のガイドツアーも開催され、ウィルヒョウやコッホなど、医学史に残る先人の偉業に触れるとても印象的な機会があり、あらためてベルリンにおける医学研究の歴史の深さを再認識しました。
今後、このワークショップ参加者による国際共同研究が推進され、がん研究の発展に貢献する研究成果が日独双方から誕生することを期待しています。日本側から参加して頂きました全ての研究者の皆さん、およびドイツ側オーガナイザーのDr. Schaferはじめ、ワークショップの現地での開催を支えて頂きましたドイツ側スタッフの皆さんにあらためましてお礼申し上げます。(文責:大島正伸)

Empress Friedrich Houseホールにおける、石川先生の特別講演