シンポジウム・ワークショップ・公開講座

青少年・市民公開講座

高校生キャンサーセミナー

開催概要
日時 平成27年2月21日(土)10:00〜16:30
会場 岩手医科大学 矢巾キャンパス
対象 岩手県内の高校生
主催 文部科学省科学研究費新学術領域研究「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」『青少年・市民公開講座』実施委員会
共催 岩手医科大学
プログラム
  1. 10:00〜開会の挨拶
  2. 10:10〜11:30 がんについての基礎講義
    がん総論 伊藤薫樹(岩手医科大学 臨床腫瘍学科 教授)
    がんの診断と治療(手術)木村祐輔(岩手医科大学 緩和医療学科 特任教授)
    がんの治療(放射線治療)及川博文(岩手医科大学 放射線医学講座 講師)
    がんの治療(化学療法)佐藤淳也(岩手医科大学 臨床薬剤学講座 講師)
    がんの予防、検診の重要性 小島淳美(岩手医科大学 産婦人科学講座 講師)
    がん看護 長澤昌子(岩手医科大学 高度看護研修センター 主任教員)
  3. 11:40〜12:30 招待講演 『がん哲学学校〜人生のversion upの邂逅〜』
    樋野興夫(順天堂大学 分子病理病態学講座 教授)
  4. 12:30〜13:00 ランチョンセミナー
    体験学習に関する事前講義、講義内容に関する質疑応答
  5. 13:10〜16:20 体験学習/がんワークショップ
    • 体験学習(内視鏡手術体験、エネルギーデバイス体験、消化器内視鏡検査体験、超音波検査体験、全身麻酔管理体験、病理検査実習、抗がん剤調剤模擬体験)
    • がんワークショップ「家族ががんを患った際の苦悩とは?さらに高校生である自分にはどのようなサポートができるか?」KJ法を用いたグループディスカッション
  6. 16:20〜16:30 閉会式、修了証授与式
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高校生キャンサーセミナー開催報告

2014年度文部科学省科学研究費新学術領域研究「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」『青少年・市民公開講座』実施委員会主催、岩手医科大学共催にて、岩手県内の高校生を対象とした『高校生キャンサーセミナー』を2月21日(土曜日)に開催しました。本セミナーは、高校生を対象に、がんについての基本的教育を行い、がんという疾患への関心を高めるとともに、予防行動や将来の検診受診を促し、さらに受講生家族への情報の波及効果を期待し計画しました。当日は、雲一つない快晴の中、岩手県内各地から82名の高校生が、会場となった岩手医科大学矢巾キャンパスに集合しました。

開会式の後、午前10時から、最初に岩手医科大学腫瘍内科学科の伊藤薫樹先生よりがんの総論についてのお話しを頂きました。その後、木村祐輔よりがんの診断学、治療学(手術)に関してお話しし、がんの放射線治療については、岩手医科大学放射線医学講座の及川博文先生、化学療法に関しては、岩手医科大学臨床薬剤学講座佐藤淳也先生より、臨床例を提示いただきながら、わかりやすくお話しをして頂きました。その後、がんの予防及び検診の重要性について、岩手医科大学産婦人科学講座小島淳美先生より婦人科がんを中心にお話しして頂き、最後に、がん治療中のケアの重要性に関して、岩手医科大学高度看護研修センター長澤昌子先生より、がん看護の基礎を丁寧にお話しして頂きました。その後、順天堂大学 分子病理病態学講座 樋野興夫教授による、『がん哲学学校〜人生のversion upの邂逅〜』と題した講演を拝聴しました。ご講演は、がんの発生から、がん細胞の特徴とヒト社会との相似性、更には、青年期における良き友、良き師、良き書物との出会いの大切さ、人としてどう生きるか等についてのお話しを頂き、これから自らの人生を切り開き歩む高校生諸君へ、とても熱いエールを贈っていただきました。

昼食時間はわずか30分間でしたが、ランチョンセミナーの形式をとり、他校の生徒同士、あるいは講師陣がともにテーブルを囲み、午後のセミナーに関する事前講義の後、講義内容に関する質問や意見交換が活発に行われ、大変和やかな時間となりました。午後は、受講者を2つのチームに分け(およそ40名ずつ)、一方は、5つの小グループを作り、体験学習(内視鏡手術体験、エネルギーデバイス体験、消化器内視鏡検査体験、超音波検査体験、全身麻酔管理体験、病理検査実習、抗がん剤調剤模擬体験)のすべてを順に経験し、もう一方のチームは、同時間帯に、がんワークショップと題して「家族ががんを患った際の苦悩とは?さらに高校生である自分にはどのようなサポートができるか?」について、KJ法を用いたグループディスカッションを行いました。その後に休憩を挟み、体験学習とワークショップそれぞれを経験したチームが、もう一方を受講し、セミナーの一切を終了しました。約6時間半という長丁場のセミナーでしたが、受講生は皆、最後まで高い集中力を保ち、積極的な学習姿勢でセミナーに臨んでいました。最後に樋野興夫先生よりセミナー全体についてのご講評いただいたのち、セミナー修了証を全員に授与し、セミナーを無事終了することができました。

受講者の多くが、将来の職業として医師をはじめとする医療職を志しており、体験学習では、実際の医療機器やシミュレーターを用いた手技の一つ一つに目を輝かせ、また、がんワークショップでは、樋野先生のお話しに触発されて、熱のこもった議論が繰り広げられていました。高校生の「命」に対する真摯な姿勢に、また瞳の輝きに、スタッフ一同深い感銘を受けるとともに、日本における医療の未来に明るい光が射していることを強く実感することができた1日でした。

会終了後のアンケート結果では、セミナーについての満足度では、大変満足(79.7%)、満足(20.3%)と高い評価を得ました。特に、樋野先生の『がん哲学』に関する講演と、機械やシミュレーターを使用した体験学習が魅力的であったとする感想が多く寄せられました。アンケートから得られた感想の一部と、当日の様子の写真を添付いたします。

最後に、岩手県における本セミナー開催の実現にあたり、多大なご尽力を賜りました青少年支援委員長の石川冬木先生、および樋野興夫先生に心より感謝申し上げます。また、受講いただいた高校生の皆さん、本セミナーの企画・運営にご協力いただいた30名を超えるスタッフの方々に、心より厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

2015年3月4日
岩手医科大学 緩和医療学科
『高校生キャンサーセミナー』コーディネーター 木村祐輔
高校生から寄せられた感想(抜粋)
  • 午前中の講義ではがんについて正しい情報を得ることができ、午後は実際に体を動かし、器具を扱う難しさを感じた。実際に体験したことで、医療に対し、より一層興味を持った。
  • このような機会がなければ体験できなかったことをたくさん経験できました。1日本当に楽しかったです。医師になって働きたいという思いが強まりました。また、がんについて患者さんの気持ちや緩和ケアの大切さについて学ぶこともできました。
  • 私はもともと終末期医療や緩和ケアに興味があったので、それについての詳しいお話を聞くことができて、本当に勉強になりました。こんなに自分でたくさんのことを体験できるセミナーは初めてでしたので、とても嬉しかったです。
  • 講義や体験セミナー、ワークショップなど1日を通して、チーム医療の大切さを実感しました。
  • 今までがんの羅患率が高いことは知っていましたが、このセミナーを通してがんが他人事でないこと、これから自分がどう生活していけばよいのか、深く考えることができて、とても良い経験になりました。
  • このイベントを体験する前は、医師という仕事について漠然としか考えていませんでしたが、今日、具体的な技術や経験をさせていただいた事で、医師はどうあるべきか本質に迫ることができたと思います。お世辞なしで、とても素晴らしいイベントだと感じました。特にテンポよい講義が聞きやすかったです。
  • 医療現場では迅速な判断や技術が求められているが、実際にやってみると扱い方がとても難しく、手術は厳しいものだと感じた。医師としての姿勢を学ぶことができたので、これから医師を目指してがんばっていきたい。
  • 内視鏡や超音波検査など実際に医療現場で使われているものを使うことで貴重な体験ができ、充実した時間を過ごせた。今回の体験で医療現場に従事したいという思いが強くなった。
  • 予想していた以上に楽しく学ぶことができました。癌についてくわしく知ることができましたし、手術や薬の投与のやり方を実際に自分で体験することができて感動しました。ますます医療ついて興味がわきました。
  • がんについての知識を深めることができました。がんになってしまった本人はもちろん、その周りの人にも深く心にダメージを負います。それを緩和していくためにも、将来自分を含め、医療に関わる方たちのサポートもどれだけ必要なのかが分かりました。とても、貴重な体験をありがとうございました。
  • 今回のキャンサーセミナーに参加して、とても将来の参考になった。基礎講義ではがんに対する基礎知識を学び、特別講義では楽しく講義を受けることができた。また、ワークショップでも皆で意見を出し合い、協力してまとめることができ、体験セミナーでは今まで体験したことのないことをたくさんできて、とても充実した1日だった。
  • がんについての講義だけではなく、体験することで、がんがどのようなものか詳しく知ることができた。また、ワークショップでは、グループの中でさかんに意見の交流があり、チームワークを高める点でも、がんについての対策を考える点でも良いことだと思った。
  • 実際に電気メスを使ったり、シミュレーターで肝臓と胆のうを切り離すことができて、とても貴重な経験となりました。自衛隊医官になりたいという目標がより明らかなものとなりました。ありがとうございました。
  • 樋野先生のお話で、新渡戸稲造の話を交え、「がん」を世界の架け橋として考えていらっしゃるとお聞きし、大変おもしろい発想だと思いました。
  • 麻酔も血圧や脈拍によって使い分けなければならず、手術のことだけでなく、そのようなことにも気を配って手術しなければいけない医師の大変さを学ぶことができた。また実際に薬を作ってみるとこぼさないでやることの難しさや重要性を体験できた。
  • 体験セミナーでは、今までテレビとかでしか見たことがないようなものばかり経験できて、とても楽しかったです!
  • がん哲学というのは今まで聞いたことがなかったのでとても新鮮だった!やったことのない体験がいくつもあったので非常に楽しかった!
開催当日の様子