研究紹介

がん研究 スポットライト

大豆イソフラボンの前立腺がん予防効果−科学的な解明から、世界規模の予防戦略へ
前立腺がんハイリスク患者に対して、世界規模の予防戦略を

ところで、イソフラボンのとり過ぎは健康によくないのではないかという声も聞かれますが。

食品として摂取する程度であれば、心配する必要はありません。厚生労働省が公開している「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」にも、そのように書かれています。

サプリメントとして摂取する場合には、どんなサプリメントでもそうなのですが、摂取しすぎて体内濃度が異常に高くならないように注意することが必要です。イソフラボンの場合、厚生労働省の資料では、「1日あたり30mgを超えないこと」とあります。

エコールとNATTS菌の研究成果を、今後どのように展開していく予定ですか?

私たちは、日本人の年代別に、エコールを産生できる人の割合を調べました。すると、若年層はその割合が低いとわかりました。40歳代を境に、エコールを産生できる人がぐっと少なくなっているのです。若い人になぜエコール産生者が少ないか、その理由はよくわかりませんが、40歳代以下の人がこのままエコール産生能をもたずにいるとすると、日本人の前立腺がん発生率は今後上昇していくだろうと予測されます。NATTS菌の感染について、いっそうの研究が必要だと思います。

NATTS菌を腸内にもつかどうかは、どこに住むかが大きく影響しているのではないかと想像しています。日本からハワイに移住した日系人の中には、ある程度豆腐を食べている人たちがいるのですが、前立腺がんの発生率はかなり高くなっています。そうした人たちを調べてみると、NATTS菌をもつ人はほとんどいないのです。海外での調査はまだ始まったばかりですが、世界のいろいろな国々で、NATTS菌以外の菌がエコール産生に働いている可能性も念頭に置きながら、NATTS菌をはじめとするエコール変換細菌の分布と前立腺がんの発生率を調べていきたいと考えています。そして、前立腺がんのリスクが高い集団に対して、どのような予防戦略が可能か、それを具体的に組み立て、展開していきたいと考えています。

【年代別にみた日本人と韓国人のエコール産生者の割合】

赤座特任教授らが行った調査の1つ。どちらの国も、健康な男性について調査した。日本人は韓国人よりエコール産生者の割合が低く、特に、40歳代以下で大きく減少している。

赤座 英之

TEXT:藤川 良子 PHOTO:大塚 俊
取材日:2014年11月6日