研究紹介

インタビュー
化合物の”作用メカニズムの情報”が隠されている「フィンガープリント」

矢守部長はフィンガープリントの画像を前にして「ここが、がん細胞パネルの話を理解していただくためのポイントです」と、俄然ことばに熱がこもり、これらのフィンガープリントには、化合物の“作用メカニズムの情報”が隠されていることが特徴であると強調した。


既存の100種類の薬があれば39×100種類のフィンガープリントがとれる。それをデータベースに登録する。さらに、フィンガープリントの似たもの同士をグループにする。一方で、100種類の薬をメカニズムが似ているもの同士でグループに分ける。2つの方法でグループ化を行う。そうして出来たグループを、フィンガープリントで分けた場合とメカニズムで分けた場合とで比べると、よく似ているのである。つまり、フィンガープリントが似ていると薬のメカニズムもよく似ているという関係が分かったのだ。


図3.39種類のがん細胞に既存の薬を加えてフィンガープリントを作成し、データベースに登録する。

化合物の探索をするデータベースの基盤には2つの要素が必須で、1つは探索のための「スクリーニング方法(ここではJFCR39細胞パネル)」、もう1つが「化合物のライブラリー」である。化合物のライブラリーは、いわば砂金を見出す元になる砂に相当するもので、ボキャブラリー(化合物の種類)が豊富であればあるほど砂金を見つける確率も高まることになるので、データベースの大きさが重要になる。


実際の探索作業は、例えば、新しく化合物Xというのを作ったとする。どのターゲットに効くのか分からないのでXのフィンガープリントをとり、データベースでスクリーニングする。すると、既存の抗がん剤と差別化できるかどうかが明らかにできる。次に、ではどこに効くのかということを調べる。これは、化合物のターゲットの予測であり、その予測能力というのは前述したように第2データベース(化合物)のボキャブラリーのレパートリーの広さにかかっている(図4)。矢守部長は「予測をするための阻害剤の種類をどんどん増やすというのが重要で、データベースは定期的に拡張しています」と、創薬研究への態勢に抜かりはない。


図4.化合物Xのデータベースを通して得られる情報