研究紹介

インタビュー

組織幹細胞やがん幹細胞を3Dで培養

さらに上野教授は、同定した舌の正常上皮幹細胞やがん幹細胞を、マトリジェル内で3次元培養する研究もはじめている。「3次元の培養は、通常の2次元培養よりも体内に近い環境といえます。たとえば、舌の正常上皮幹細胞の場合は、内側に分化した上皮細胞が集まり、その周りを、幹細胞を含む未熟な細胞が取り囲んだ球形のコロニーが形成されます」と話す。こうしたコロニーはあたかも臓器の一部のような構造体であるため、「オルガノイド」とよばれている。

正常なオルガノイドがきれいな球形であるのに対し、がん幹細胞を3次元培養して得たオルガノイドは、いびつな不定形の3次元構造であることがわかってきた。上野教授は、こうしたオルガノイドを解析することで、がん幹細胞の起源や発生、増殖等について検討できるほか、正常なオルガノイドを利用した再生医療なども可能だと考えている。


【舌上皮幹細胞のオルガノイド培養】

2014 比舎ら Sci Repより転載

(A)位相差顕微鏡写真   (B)オルガノイド切片のHE染色   (C)舌オルガノイドの多色細胞系譜解析   (D)舌がん由来オルガノイドの異常形状