研究紹介

インタビュー

同様に、がん幹細胞の同定も開始

上野教授は、同じ手法をがん組織に適応し、まったく同じ原理でがん幹細胞を同定しようとしている。「食道と舌の正常上皮幹細胞の知見を生かし、食道がんと舌がんのがん幹細胞を同定したいと考えています」と上野教授。

がん幹細胞は、がん組織中で自己複製しつつ周囲にがん細胞を供給する「がんの親玉」のような細胞だ。その存在は白血病で最初に提唱され、証拠が積み重なっているが、固形がんを含め全ての悪性腫瘍にがん幹細胞が存在するかについては、まだ異論が多いのが現状だ。がん組織内において「1個の細胞レベルで自己複製と分化の両方ができる」ことを証明するのが難しいのがその理由だ。上野教授はこれまでの研究でがん幹細胞とされていた細胞についても、新しい方法論からあえて中立的な立場で解析と検証を行い、すでにがん幹細胞の存在を示す結果を得つつある。

この点について上野教授は、「がん幹細胞には、正常幹細胞ががん化してできるものと、普通のがん細胞が脱分化して幹細胞の性質を獲得してできるものとがあると考えられています。そこで今後は、多色細胞系譜追跡法によって、2パターンのがん幹細胞がどのようにして生じるのかについても詳細に解析したいと考えています。同時に、網羅的な遺伝子発現解析により、舌がん、食道がんのがん幹細胞で、それぞれに特異的な遺伝子、共通する遺伝子等の探索も行う予定です」と話す。


【レインボーマウスを使ったがん幹細胞の同定】