研究紹介

インタビュー
悪玉のがん幹細胞の居場所を特定!次なるステップは増殖のメカニズム解明だ 具体的にはまず、がん幹細胞の性質から入っていかなくてはいけない。がん幹細胞というのは、がん細胞を産生する能力があること、他の細胞に比べると転移を作りやすい細胞であること、あるいはES細胞にやたらよく似ていること、そして抗がん剤などに抵抗性を示すこと等々、幾つかの条件を満たさないとがん幹細胞とは断定できない。

「私たちはすでに、一部それらしき細胞を見つけ、実際どこにいるかということを突き止めている。ある特定のマーカーをもつような細胞だけをがんの中に持ってきて、それをマウスに打ち込むと非常にがんが成着しやすい、あるいは肺の方に非常に転移しやすかったり、あるいはマトリックスという成分を突き破る能力が高かったり、遺伝子がES細胞のようになってしまったりする細胞を発見した。その細胞がおそらくがん幹細胞だろうと、2010年に発表・報告している」
赤く染まっているのは血管。血管の近くで緑色に染まっている部分の細胞ががん幹細胞と思われる。

「がん幹細胞」は、がんの周辺領域の赤く染まる血管の周りに非常に集中していることが分かる。

高倉教授は、「私たちの次のステップは、なぜ血管のこの場所でこんなに増えているのか、を突き止めること」と、次の課題を提示した。

注釈
【ES細胞】
英語 embryonic stem cells。日本語では「胚性幹細胞」あるいは「胚幹細胞」と訳される。非常に多くの細胞に分化できる「分化万能性」をもつ幹細胞のこと。
胚幹細胞は、ヒトの発生初期、分裂を繰り返して様々な組織を作る細胞を生み出している細胞である。1998年に、ウィスコンシン大学・トムソン教授らによって初めてヒトから取り出すことに成功した。ES細胞は、胚盤の胚にある内部細胞から作られ、無限に増殖させることが可能なことから、基礎医学の研究に必要な細胞を意図的に作ることができるようになり、再生医療の道を飛躍的に発展させた。