研究紹介

インタビュー
がん抑制遺伝子の研究成果を臨床に活かす

鈴木教授は、がんの発症・進展のメカニズムとがん抑制遺伝子との関連性の解明を進めるとともに、これまでの研究成果を活かし、がん抑制遺伝子経路を標的としてがんを治療するという、新たながん治療戦略の確立に向けた研究も行っている。外部の研究機関と協力しながら、核小体の内部でPICT1と結合しているRPL11を引きはがす物質を探索中だ。そのような物質が見つかれば、RPL11は核小体から出てp53を活性化させ、がんの増殖を抑制することだろう。またHippo経路を標的とする物質も探索中だ。Hippo経路下流のYAPとTEADの結合をはがす物質や、YAPによる転写活性を抑制させる物質が見つかれば、がんの増殖を抑制することが期待できる。このように治療薬の候補物質の探索プロジェクトが進行中だ。

また、食道がん、胃がん、大腸がんなどでは、がん組織でPICT1の発現が見られる患者に比べて、発現の見られない患者の予後がよいことも明らかになった。現在、鈴木教授たちは、PICT1を患者の予後評価の指標として応用することを目指して研究を進めている。

「近年質の高い世界のトップレベルの研究成果を生み出すには、1つの研究でも徹底的に突き詰めて緻密にデータを蓄積し、多くの実験データを入れ込む必要があります、と鈴木教授はいう。がん抑制遺伝子の機能のさらなる解析と、その成果の臨床応用を目指して、鈴木教授の研究は続く。

鈴木教授

TEXT:土谷 佳峰 PHOTO:大塚 俊
取材日:2013年12月9日