研究紹介

インタビュー

イメージングマウスで生体の細胞老化機構を可視化

これまで細胞老化の研究は、培養細胞を使った研究(in vitro研究)が主流だった。 「とはいえ、生体内での細胞老化のメカニズムはじゅうぶんにはわかっていませんでした。そこで私たちは、p16やp21の2つのタンパク(遺伝子産物)が、細胞周期を停めて細胞老化を誘導するうえで非常に重要なタンパクであることから、p16やp21の遺伝子の発現を生体内で可視化(イメージング)しようと考えたのです」

生体内における細胞老化の役割と制御機構を解明するために、大谷研究員らが利用したのがホタルが発光するために使う酵素(ルシフェラーゼ:luciferase)の遺伝子をマウスの体内で、p16やp21の発現に応じて発現させるという技術。この技術そのものは、徳島大学准教授時代に開発に成功していたという。(2007年PNAS, 2009年JCB 下記文献参照)

「このイメージング技術を使う以前は、時間の経過とともに異なるマウスを解剖して臓器をとって発現を調べないといけませんでしたが、このイメージング技術を使えば同一の個体におけるp16やp21の発現が体内のどこで高まるかを時間の経過とともに追うことができます」と、大谷研究員はイメージング技術がもつメリットについて解説してくれた。

【加齢による細胞老化を発光イメージングマウスで確認】
蛍光イメージングマウスにおけるp16の発現

長く生きるほどp16の発現が強まることが発光イメージングマウスによってわかる。
実験に用いたマウス(CD−1マウス)の寿命は約24か月。23.5か月生きた高齢マウスを解剖したところ、体内で発光の強い箇所ほどDNA損傷が強く起こっていた。

文献

Ohtani N, Imamura Y., Yamakoshi K., Hirota F., Nakayama R., Kubo Y., Takahasi A., Ishimaru N., Hirao A., Mann DJ., Hayashi Y., Arase S., Matusmoto M., Nakao K. and Hara E.
Visualizing the dynamics of p21Waf/Cip1 cyclin-dependent kinase inhibitor expression in living animals.
Proceedings of the National Academy of Sciences of USA 104, 15034-15039, (2007)

Yamakoshi K, Takahashi A, Hirota F, Nakayama R, Ishimaru N, Kubo Y, J. Mann D. J, Ohmura M, Hirao A, Saya H, Arase S, Hayashi Y, Nakao K, Matsumoto M, *Ohtani N, and Hara E.
Real-time in vivo imaging of p16Ink4a reveals cross talk with p53.
Journal of Cell Biology 186, 393-407, (2009)



大谷 直子