研究紹介

インタビュー

上皮細胞の極性に必要なaPKC-PAR3系の発見

aPKCとPAR3の複合体は、どのようにして局在化するのか、そしてどのようにして他の細胞成分の空間配置を決めるのであろう。「私たちは、もっとも研究の蓄積がある上皮細胞を選び、その解析を進めました。上皮細胞は、試験管内で細胞の極性化と脱極性化の過程を再現できるからです。」大野教授らのその後の研究は、上皮細胞においては、細胞同士の接着点及び基底膜を起点としてaPKC-PAR3系の局在化が起き、これがランドマークとなり他の細胞内装置の空間配置が決められること。これが上皮細胞の極性化の過程で起きていることを明らかとした。

生体を構成する細胞は実に多様で各々が特有のかたちをとる。したがって、その根底にかたちを決める共通のメカニズムが存在するとはだれもが想像していなかった。「私は生化学者であり分子生物学者です。常に物事を単純化し普遍化することを考えます。生命の多様性や生体組織の多様性、構成する細胞のかたちの多様性などの知識が乏しいことが幸いしたのかもしれません。線虫受精卵でのaPKCとPAR3の共同作用の発見を受けて、生物種を超えて、細胞種を超えて、aPKC-PAR3系が細胞極性を制御する普遍的な仕組みである。という仮説を妄想したのです。」

現在、大野教授のこの「妄想」通り、aPKC-PAR3系は、線虫の受精卵と上皮細胞のみならず、様々な生物種の様々な組織を構成する細胞の極性化に関わることがわかっている。


【ゲノムの一次元の文字列の情報が三次元のかたちと向きをもつ
組織づくりを指令する仕組み】
線虫受精卵の非対称分裂に先立つ細胞の極性化、aPKC-PAR3複合体の局在、aPKC-PAR3複合体の局在、極性化した上皮細胞、aPKC-PAR3複合体の局在