研究紹介

インタビュー
PTENの再活性化による新たな治療薬の可能性

肺がんや肝臓がんなど、他のがん細胞でもNDRG2の発現が低下していることが報告されている。そこで、森下教授らは、NDRG2の遺伝子を欠損させたモデルマウスを作製し、がんを発症するかを調べた。その結果、NDRG2欠損マウスは、Tリンパ腫のみならず肺がんや肝臓がんなどさまざまながんを発症した。また、脂肪肝や心筋梗塞などの生活習慣病も発症し、生存期間は短縮した。

「他のがんでもNDRG2の機構が働いていることがわかり、やっぱりそうなんだと思いました。がんの発症の要因はPTENそのものではなく、PTENの制御因子だったのです。これまで、NDRG2の機能はわからなかったのですが、この成果で明らかになったことをきっかけにNDRG2がもっと注目されるかもしれません」と森下教授は話す。

これまで、不活性化したPTENの機能は元に戻せないと考えられていた。しかし、PTENをリン酸化する酵素を阻害すれば、PTENのがん抑制効果を取り戻すことができるかもしれない。「PTENリン酸化酵素の阻害剤がATLのみならず多くのがんの治療薬になりうると考えられ、各所で研究が始まりました。また、私自身は、NDRG2をATLの診断マーカーに応用するための検討も行っています」。

【PTENリン酸化酵素阻害剤は多くのがんの治療薬となりうる】