研究紹介

インタビュー
がんの幹細胞はどこから生まれるのかー正常な幹細胞のがん化が始まり がん細胞に「がん幹細胞」が存在することは、1997年カナダにおいて初めて白血病で発見され、2003年に乳がんでも報告された。2005年暮れには、森教授のグループが大腸がん、続いて肝臓がんで報告した。現在、がん幹細胞の研究は各国で盛んに進んでいる状況だそうだ。

森教授は最近の状況について、「“がんの幹細胞はそもそもどこから生まれるのか”という疑問があり、最近、それがオランダからの報告で明らかになった。それは、正常の臓器にある幹細胞のAPCという遺伝子は、正常な場合は何も悪い働きをしないが、それがおかしい働きをすると“がんができる”。しかし、幹細胞でない細胞のAPCがおかしくなっても何も起こらない。だから、“がんというのは正常の幹細胞がおかしくなったときにがん化し、最初のステップはがん幹細胞だ”と証明した。最近の非常に素晴らしい仕事です」。

現在、がんの発生についてはいろいろな考え方があるけれども、実際に証明したのはこの報告が唯一だという。森教授はこの報告が納得のいくものだと言う。 「その考えがよく分かるのは、がんというのは、遺伝子がいくつも異常が積み重なってできると考えられ、遺伝子にいくつも異常が積み重なるにはそれだけの日数が必要になる。だから50歳60歳になってがんが多くなってくる。数日で置き換わるような細胞に今日APCがおかしくなった、P53がおかしくなったとしても、数日でがんが発生するというのは理論的には考えにくい。やはり、しばらくそこに潜んでいられる細胞ががんの源としては考えやすいのです」

森正樹