研究紹介

インタビュー
増大するデータをどう処理していく?ースパコンの貢献 現在、宮野教授たちが使用しているヒトゲノム解析センターのスパコンは、225テラフロップス、22,000コアという規模である。また、神戸の次世代スパコン「京」は70万コア、毎秒1京(1兆の1万倍)回の計算速度を実現する。

どちらにも関わっている宮野教授は、両方のスパコンで使えるソフトウェアをすでに用意しているそうだ。次世代スパコンが稼働すれば、以前にも増して膨大なデータを速やかに処理することができ、バイオインフォマティクスや他の分野の研究などに大きな貢献ができるだろうと期待されている。

宮野教授は2010年、海外の状況を調べていて、アメリカが同じような計画を進めていることを知った。それは、“がんのシステム的な理解をしよう”というプロジェクトで、5年間約100億円の予算を投じて、2010年の2月から11か所の研究拠点で始めるというものだった。がんをシステムとして捉えようという流れが出てきた証であり、コンピューターシミュレーションを柱にする方法は宮野教授のグループと似ている。ただ、スパコンを駆使するという概念は入ってなかった。その点について、「1年の長があるとすれば、スパコンを使う私たちの方にあるが、2年後は状況が変わっていると思う」と宮野教授は予測していたが、そのとおりになった。開始してから2年間で宮野教授らの「システムがん」研究から画期的な成果がでてきたが、米国の100億円プログラムからも続々と成果が発表され始めた。

一方で、解析器機の発展により、ゲノムの解読費用が以前に比べて格段に下がったことから、遺伝子情報は医学の領域を超えて商用ベースとなってきた。個人の遺伝子のタイプを特定したり、ある特定の病気のリスクや出身ルーツを探るような、個人レベルの要望に応じるサービスが、アメリカなどで登場している。ヒトゲノムのシークエンスのコストが1000ドルを切り、パーソナルゲノムに基づいた個別化医療(personalized medicine)の時代がアメリカでは始まった。

次世代スーパーコンピューター 「京」の施設外観 提供:理化学研究所
拡大する
次世代スーパーコンピューター「京」
提供:理化学研究所