研究紹介

インタビュー

USP8の構造と機能の解析

駒田教授らは、USP8の機能解析を試みた。ヒトの培養細胞を上皮細胞増殖因子(EGF)で刺激し、EGF受容体のユビキチン化を誘導したところにUSP8を過剰発現させてみたのだ。「その結果、EGF受容体のユビキチン化が有意に抑制されており、確かにUSP8が脱ユビキチン化酵素として機能していることがわかりました」と駒田教授。つづいて、USP8によって、脱ユビキチン化されたEGF受容体の分解が抑制されるかどうかについても調べた。結果は予想通りで、正常な場合には数時間で分解されるはずのEGF受容体が、まったく分解されなかった。

一方で、USP8の構造についても解析した。「USP8をアミノ酸レベルで調べたところ、特定の6つのアミノ酸からなり、さまざまなタンパク質の機能を調節する14-3-3タンパク質と結合する配列(14-3-3結合配列)をもつことがわかりました」。そう話す駒田教授は、USP8の活性化の鍵もこの配列にあると考え、14-3-3結合配列を欠失させたUSP8変異体を作って調べてみた。「14-3-3結合配列が失われると、異常に高い脱ユビキチン化活性を示すようになることがわかりました」。

一連の結果は、USP8の変異がユビキチン化を過度に解除し、細胞の過増殖やがんを引き起こしうることを示していた。2010年、駒田教授は「分子レベルで想定される、新たな発がん理論」として発表したが、当時はUSP8の変異によるがんや疾患の実例は報告されていなかった。


【14-3-3結合モチーフの変異は、UBPYの機能獲得型変異となる】

Mizuno et al. Exp. Cell Res. 2007