研究紹介

インタビュー

上皮細胞形態観察における2次元培養の限界

生体における上皮細胞は、すでに分裂を止めている。いずれも円に近い多角形をしており、周辺にアクチン線維をもつ。極性化した上皮細胞同士はジャンクションによって連結し、皮膚でみられるようなシート状をなしている。線維芽細胞に代表される間葉系の細胞とくらべると、移動の自由度が小さく、容易に動くことはできない。 菊池教授らは、マウスの小腸の上皮細胞を対象に培養実験を行い、培養皿中における増殖・運動・極性のようすを詳細に調べてきた。

細胞の増殖や運動にEGF(Epidermal Growth Factor)やFGF(Fibroblast Growth Factor)、HGF(Hepatocyte Growth Factor)などの細胞増殖因子が必要であることは広く知られている。一方、菊池教授が精力的に研究を行っているWntは現在までに19種がファミリーとして知られており、Wnt3aやWnt5aはそのメンバーである。いずれも、競うようにして機能解析が進められており、一連のシグナル伝達系を介して遺伝子の発現レベルを調節し、生体の器官形成や組織形成にはきわめて重要であることが明らかにされている。
しかし、固い培養皿の上で上皮細胞を培養して細胞増殖因子やWntを作用させても、著しい細胞のかたちの変化はみられませんでした。


【Regulation of tubulogenesis】
Regulation of tubulogenesis


注釈
【上皮細胞】
体表面を覆う「表皮」、管腔臓器の粘膜を構成する「上皮(狭義)」、外分泌腺を構成する「腺房細胞」や内分泌腺を構成する「腺細胞」などを総称した細胞。


【Wnt(ウィント)】
ショウジョウバエにおいて広く研究されており、この遺伝子が壊れると羽がない表現型が生まれる。