研究紹介

インタビュー

効果的な免疫療法の開発に向けての“がん免疫応答のキーポイント

河上教授はアメリカにいた初期のころからT細胞を研究してきて、その後、T細胞が認識するヒトがん抗原の単離同定に成功している。その結果、同定したがん抗原を用いることで患者さんの抗腫瘍免疫応答を定量的・定性的に測定することが可能になって、これまでに多くの新しい免疫療法の臨床試験の開発に関与してきた。

また、これらの臨床試験の解析結果から、免疫療法においてがん細胞を排除するための問題点が明らかになってきた。もちろん、まだ未解明な点は多々あるのだが、河上教授たちは、免疫療法をより効果的にするべく重要な制御ポイントを、以下のように6つ提示している。

  1. 内在性腫瘍抗原に対する免疫誘導を起こせる生体内腫瘍破壊法の開発
  2. 適切な腫瘍抗原の使用(がん幹細胞にも発現し、がんの増殖生存に関与する抗原)
  3. 樹状細胞の抗原取り込み・プロセシング・成熟化の促進法の開発
  4. ヘルパーT細胞の増殖活性化法の開発
  5. キラーT細胞の増殖活性化法の開発
  6. 免疫抑制環境の是正法の開発
【効果的ながん免疫療法開発のための重要な制御ポイント】
効果的ながん免疫療法開発のための重要な制御ポイント

図を見ても分かるように、免疫制御機構のネットワークは、何か1つ謎を解けば解決につながるようなものはなく、複雑に絡み合っていることが理解できると思う。また、がんは患者さんの個体差があり、同じ薬、同じ治療法で効く人もいれば、効かない人もいるのは周知の事実であるから、単体でなく複合的な免疫療法システムの開発がとても期待されている。