研究紹介

インタビュー
再発するがんの「もと」はどこにいるのか

骨は、血液細胞を産生する場という重要な役割をもっている。骨髄には赤血球や白血球などのもとになる造血幹細胞が含まれており、たえず新しい血液細胞がつくられている。骨には血管を通す穴がたくさんあいていて、骨髄でつくられた血液細胞は血管を通って外部へ流れていく。

【骨の中の血管】

骨髄にはたくさんの血管が走っているが、その血管壁は透過性があり、様々なものが漏れ出す。vascular permeability:血管透過性、bone marrow:骨髄、blood vessel:血管

一方、骨髄組織へは血管から栄養が送られているが、ときとして本来そこに存在するはずのないがん細胞が入り込むことがある。このようながん細胞が、がんの再発や転移を引き起こしているのではないかと考えられている。たとえば、乳がんの患者で、がん細胞を全部切除したはずなのに、数年後にまったく別の場所にがんが再発することがよくある。血液やリンパの流れとともに骨に到達したがん細胞が骨の中で生き残り、やがて別の場所へと移動し、新たな場所でがんが再発するのだと考えられている。

骨の内部は、血液細胞の分化や細胞分裂が繰り返される特殊な場所だ。このような環境に入り込んだがん細胞は、どうやって移動し、活動するのだろうか。骨の中でがん細胞が生き延びるメカニズムを明らかにすれば、がんの再発や転移を抑える新しい治療法がみつかる可能性がある。ところが、骨に潜んだがん細胞の様子を見たことのある人はこれまでおらず、骨の中のがん細胞の情報はほとんどなかった。

「骨はがん細胞が隠れているのにちょうどいい場所のようなのです。骨の中では、がん細胞が自分のすみやすい微小環境(ニッチ)をみつけて生き延びています。生体イメージング技術は、骨の中に潜むがん細胞のいる場所やニッチをみつけるための有効な手段です」と、石井教授はがん研究における骨のイメージングの意義を説明する。