研究紹介

インタビュー
胃がんへのイメージの転換を促したいーピロリ菌駆除への啓蒙 「胃がんに関してはこの数年でその疾患概念が180度転換した。胃がんは「細菌感染がん」なのだ。われわれもそれをもっと声高に叫ばないと……。日々、多数の胃がん患者さんが生まれている。ピロリ菌の感染予防・駆除により、今後、胃がん発症を予防しようと思えばその対策が打てる状態になりつつあるにも関わらず、一般の方々への啓蒙が足りないため、胃がん撲滅が大きな社会的要求となっていない。」と畠山教授は指摘する。

基本的には、ピロリ菌は抗生物質で除菌が可能であるが、その成功率は約8割で、約2割の人は除菌できない。となると、やはり次の手段として、ピロリ菌に感染した人からがんを起こさないための何か手法を考えなきゃいけないことになる。

「除菌はできるだけ若いときに行うほうがいい。若ければ若いほど胃がんになる確立は低くなる。例えば、20歳の成人式のお祝いとしてピロリ菌検査を全員に行い、陽性者には積極的な除菌を勧めればいい」

  現行の医療制度では、除菌処方は潰瘍の症状を持つ人以上に保険適用が認められ、潰瘍以下の場合は全額自己負担になる。保険適用で1万円ぐらい、全額負担だと3万円ぐらい。 「『全額負担してもらいます』というと、『じゃあ、やめた』という反応になることも多い。この2万円の差が、日本人のメンタリティーに結構響くみたい。2万円払って胃がんの恐怖から逃れられるとしたら、こんな安い買物はないと思いませんか?」と畠山教授は嘆く。もどかしい気持ちがこちらにも伝わってくる。

「ピロリ菌と胃がんとの関連に関する本質的な研究が展開されているのはこの10年ほどの期間ではあるけれども、既に極めて実践的で大事な結論が出ている。それは、“ピロリ菌がなければ胃がんにならない”ということ。これは一般の方々に深く理解してもらいたい。ピロリ菌が関係しない胃がんはほとんど存在しない、というふうに考えてもらいたい」と力をこめていう。 畠山昌則教授