研究紹介

インタビュー

想定外だったV型XPの原因タンパク質

V型XPを引き起こす因子の異常に、いかにして迫るのか。「私たちは、予備的な解析結果から、V型では損傷があっても構わずに乗り越えて複製する反応に欠損があり、恐らくは既存のDNAポリメラーゼを補助して損傷乗り越え反応を可能にする補助因子に異常があるのではないかとの目星を付けました。そしてV型の患者さんの細胞を使って補助因子の異常を洗い出すことにしました」と花岡教授。

まず試験管の中で「損傷乗り越え複製(translesion synthesis; TLS)」の反応を検出する系の確立に成功した。予想通り、「V型XP患者の細胞抽出液」ではTLS反応が起こらなかった。そこで正常な細胞から抽出したさまざまな因子を加えて、複製が進むようになるかどうかを調べた。もし、複製が進むようになれば、その因子こそがV型で欠損していたものだといえるからだ。「私たちはなんらかの補助因子がひっかかってくるだろうと思いましたが、そうではありませんでした。そのかわり、まったく知られていなかったポリメラーゼに行き当たりました」と花岡教授。

新たに発見したポリメラーゼの遺伝子同定を急いでいた1999年2月、米国のグループが出芽酵母を用いて、同じような性質のポリメラーゼの遺伝子を同定したと報告した。「このポリメラーゼは出芽酵母ポリメラーゼη(ポルη)と名付けられました。私たちも急いで論文にし、4か月後にV型XP患者の原因遺伝子として初めてこの遺伝子を突き止めたことを報告しました。ヒトと出芽酵母では配列はかなり異なりますが、活性部位の配列と重要なドメインの順番はよく保存されていました」。花岡教授は、そうコメントする。「私は元々複製型DNAポリメラーゼの一つ、DNAポリメラーゼαの研究をしていました。ですからV型XPの研究で、再びDNAポリメラーゼの研究に戻ってこれたのは幸運でした。何故なら若い頃の色々な知識や経験が直接活かせたからです」と花岡教授。


花岡文雄