研究紹介

インタビュー

国内のHBOCの医療システムづくりへの貢献も大事な務め

大学卒業後、すぐに加齢医学研究所の癌化学療法分野に入局し、同時に大学院に進み、大学院のときは白血病関連分子の発生過程の役割について研究した。その後、一般病院で勤務しつつ、以前から興味があったがん遺伝子やがん抑制遺伝子の研究を深めようと、留学先を探して、ボストンのハーバード大学系のブリガム女性病院の病理学部門に留学する機会を得た。3年間の留学を終えて帰国後に東北大学附属病院の腫瘍内科で臨床医としての日々を送り、2003年8月に加齢医学研究所・癌化学療法分野(のちの臨床腫瘍学分野)で助手となり、2007年より同研究所の免疫遺伝子制御研究分野の准教授を経て、2014年からは現在の職に就き、これまでの臨床での経験を活かしながら基礎研究を続けている。

「“がん”についてずっと興味をもってやってきましたが、正直言ってこんなに自分が研究を続けられるとは思いませんでした。臨床も非常にやりがいはありましたから、免疫遺伝子制御研究分野に異動のお話を頂いたときはどうしようか非常に迷いましたが、やはりもっと研究をしたいと思ったのです。2014年からは腫瘍生物学分野を担当させて頂くことになり、責任もいろいろ増えましたが、2015年からは助教の先生も来て頂いて、大いに助けてもらっています。学生さんも増えましたが、その成長ぶりに気づく瞬間というものうれしいものです」と語る千葉教授。重責を背負っていながらもその口調はいたって軽快だ。節目節目で自分が選択すべき道を気負いなく選んでこれられたという印象を受けた。

発がんのメカニズムを解明し、また治療や予防のための新たな標的分子の探索、放射線や抗がん剤の感受性予測因子の探索など、今後のがん治療において重要な個別化医療の開発に貢献することをめざしているという千葉教授だが、最近、「日本HBOCコンソーシアム」という団体の理事も務めている。日本HBOCコンソーシアムは、HBOCに関る医療関係者により2012年10月に設立された研究団体という。

「ようやく認知されるようになったHBOCの研究の成果が日本国内ではまだまだ臨床に活かされていないのが現状だと思います。国内におけるHBOCの実態とそれに対応した医療システムについてより多くの人に知ってもらうことも、私たち医療従事者、研究者の役割だと思いますので、私も少しでも役に立てればと考えています」


千葉 奈津子


TEXT:冨田ひろみ PHOTO:大塚 俊
取材日:2015年12月15日

関連リンク
【日本HBOCコンソーシアム】
http://hboc.jp/