研究紹介

インタビュー

遺伝子検査でのグレーゾーン解消をめざして

HBOCを含め、BRCA1/2の変異があるかどうかを調べる遺伝子検査は国内でもすでに行われている。もっとも、検査する医療施設はまだまだ少ないうえに、検査を望む人の数も当初予想したより少ないという印象を千葉教授はもっている。

「遺伝子検査は受けられる施設も限られていますし、たとえばコレステロールや血糖値を調べるのと違ってかなり重みがある検査です。しかも、出た結果を場合によっては一生抱えて生きていかなくてはなりませんし、本人以外の家族にもかかわってくることです。ですから遺伝子検査を希望する人は、まず遺伝カウンセリングを受ける必要があります。カウンセリングを受けたのちに“やっぱり受けるのをやめます”という人も案外多いのです。まだまだ日本人にはなじまない検査なのかもしれません」

それでも検査を受けた人が「変異なし」や、「病的変異あり」という結果が出た場合は、その結果に応じた医学的管理(リスク軽減手段)にとりくむことになる。ところが悩ましいのは、遺伝子に多少の変異があるけれど、病的なものかどうかよくわからないという「未確定変異あり」の結果が出た場合だ。

「せっかく高額な費用をかけて遺伝子検査を受けたのに、どちらともいえないと判定されると、ご本人の心的負担はむしろ増えてしまうかもしれません。私たちはこうした人が少しでも減るような診断の系を開発したいと考えました」

千葉教授らが開発したのは、BRCA1の点突然変異体の機能評価法である。詳細な実験方法の紹介はここでは省くが、BRCA1上で認められたアミノ酸の変異それぞれについて、DNA修復能があるかを「相同組み換えアッセイ」で調べ、さらに、中心体および紡錘体極の制御能の有無について「中心体増幅アッセイ」で調べる。いずれかの機能に問題があれば、「未確定変異あり」というグレーゾーンにあった遺伝子をすべてとはいえないまでも、「病的変異あり」のグループに分類しなおすことが可能になると千葉教授はいう。


【BRCA1/2遺伝子検査の流れ】

【BRCA1の生殖細胞系列変異】

【BRCA1の変異体の機能評価法】