研究紹介

インタビュー

BRCA1の機能解析:DNA修復と中心体制御に関与

これまで千葉教授はBRCA1のがん抑制遺伝子の機能解析にとりくんできた。
「BRCA1は、がん抑制遺伝子としてもよく知られていますが、細胞内のさまざまな機構にも関与していまして、私たちは特にDNA修復、細胞分裂制御におけるBRCA1の働きについて研究を行ってきました。BRCA1とBRCA2は名称こそそっくりですが、構造は全然違うんですね。とはいえ両方ともがんの原因となるDNA損傷を修復する機能と、細胞が分裂する際に染色体がきちんと分配されるように働く中心体制御に関与していることが分かっています」

BRCA1の機能については、DNA二本鎖切断修復能ががん抑制能として重要とされ、これまで多くの研究が行われてきたが、千葉教授は最近、中心体の制御能のほうにも着目している。正常な細胞の場合、中心体は核の横に1つないし2つある。これが細胞の分裂期にはいると紡錘体極として機能し、染色体の均等な分配において重要な機能を果たす。 「ところがこの機能が破綻すると、染色体の分配異常がおこります。つまり染色体の欠失や過剰をもたらすのです。これが遺伝子異常の原因になります。これまではどちらかというと、活性酸素などの内的要因や放射線や化学物質などの外的要因により絶え間なく損傷を受けてきたDNAを修復することのほうが、発がんの抑制には重要だとされていましたが、私は中心体の機能が異常をきたすことも発がんの原因につながるのではないかと考えています」

実際、千葉教授らの解析により家族性乳がん由来のBRCA1の変異体の中に、DNA修復能は正常なのに、中心体制御能が異常な変異体があることがわかったという。


【BRCA1とBRCA2の構造と機能】

構造はまったく異なるが、ともにDNA修復、中心体制御に関わる