概要・活動内容

国際交流委員会

University of California, Berkeley訪問およびKeystone Symposia “Stem Cells and Cancer”に参加して

京都大学大学院 医学研究科メディカルイノベーションセンターDSKプロジェクト
岡田 宣宏


はじめに

今回、平成27年度文部科学省科学研究費新学術領域研究「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流委員会から研究者海外派遣事業の助成を頂き、平成28年3月3日から12日にかけて、カリフォルニア大学バークレー校 (University of California, Berkeley) 訪問およびアメリカ合衆国コロラド州ブリッケンリッジで開催されたKeystone Symposia ”Stem Cells and Cancer”に参加する機会を頂きました。

カリフォルニア大学バークレー校への訪問

3月3日から3月5日は、カリフォルニア大学バークレー校のHe Lin教授の研究室を訪問しました。Lin教授は、microRNAの癌抑制因子としての機能を世界で初めて明らかにした研究者の一人であり、その分野では世界的に高い評価を得ている研究者です。研究室では、様々な癌種を対象とし、miR-34ファミリーを中心にmicroRNAの癌関連機能の解析を積極的に行っております。 今回の訪問では、現在私が取り組んでいる「がん幹細胞制御におけるmicroRNAの機能解析」についてDiscussionすることができ、今後の方向性に関して非常に貴重な意見交換を行うことができました。また、Lunch, Coffee break, Dinnerも研究室のメンバーと共に過ごし、研究に関することからプライベートなことまで様々な会話をかわすことができ、最高の時間を過ごさせて頂きました。

Lin教授の研究室があるLi Ka Shing Center

Keystone Symposia“Stem Cells and Cancer”への参加

3月6日から3月11日には、コロラド州ブリッケンリッジで開催されたKeystone Symposia ”Stem Cells and Cancer”に参加しました。この学会は、Austin Gurney (OncoMed Pharmaceuticals, Inc.), Connie J. Evans (British Columbia Cancer Agency), Jane E. Visvader (Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research) によりオーガナイズされた会議です。規模としては大きくない会議でしたが、世界中からがん幹細胞研究の最前線を走る研究者が参加し、がん幹細胞に関する最新の知見やその応用について議論されました。 私は本会議で、「NFYA is required for cancer heterogeneity formation」というタイトルでポスター発表をさせて頂きました。これまで癌は一つの細胞を起源とし、増殖プログラムに異常が生じることで発生する『細胞レベル』の疾患であると考えられてきました。しかし、実際の癌は、発生過程において「Genetic」および「Epigenetic」な変化が生じ、不均一な集団を形成する『組織レベル』の疾患であることが分かってきました。この不均一性は腫瘍増殖、転移、薬剤抵抗性を促進することが示唆されており、癌治療を困難にしている根源の一つです。 今回、NFYAが多段階的に複数の機能を果たすことでこの不均一性の形成を制御していることを明らかにし、発表させて頂きました。多くの研究者の方がポスター発表ディスカッションに来て下さり、非常に活発で熱のこもった議論ができ満足しております。この議論から多くのアイデアを頂いたので、今後の研究に活かしていきたいと考えております。

学会会場となったBeaver Run Resort のスキー場からの景色

おわりに

最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくださいました石川冬木先生をはじめとする国際交流委員会の諸先生方、ならびに事務手続きで大変お世話になりました同事務局の平野尚子様をはじめとする関係者の皆様方に心より感謝申し上げます。