概要・活動内容

国際交流委員会

2015 The American Society of Cell Biology Annual Meetingへの参加報告

北海道大学 大学院生命科学院 細胞ダイナミクス科学研究室
温田 晃弘


はじめに

今回、平成27年度新学術領域研究「がん支援」国際交流委員会の海外派遣事業での助成により、平成27年12月12日〜12月16日;カルフォルニア州・サンディエゴで開催された2015 The American Society of Cell Biology Annual Meeting(ASCB)に参加して、ポスター発表をして参りました。ASCBは様々な分野の人々が参加しており、細胞生物学の基礎研究の分野では世界最大級の学会と言われています。

研究内容

私はこれまでに、「転写因子activating transcription factor 5が引き起こすがん細胞の浸潤促進」について研究を行ってまいりました。これまでに我々の研究グループは、ATF5が肺がん細胞株の浸潤を促進することを明らかにしました。しかし、ATF5が他のがん細胞株の浸潤を促進するのかどうかや、この現象が起きる分子メカニズムは詳しくわかっておりません。私は、ATF5が肺がん細胞株だけではなく、乳腺がん細胞、線維肉腫、子宮頸がん細胞、膵臓腺がん細胞においても、浸潤を促進することを明らかにしました。さらに、乳腺がん細胞、線維肉腫において、細胞接着や細胞運動に寄与するintegrin-beta1、integrin-alpha2の2つの分子がATF5により促進される浸潤に重要な役割を果たすことを発見しました。すなわち、ATF5はintegrin-beta1、integrin-alpha2の発現を上昇させることで、がん細胞の浸潤を促進させることを明らかにしました。
これらの分子をターゲットとした治療法は、様々ながん細胞の浸潤により高い効果を発揮すると期待されます。

2015 The American Society of Cell Biology Annual Meetingへの参加

The American Society of Cell Biology Annual Meetingは細胞生物学分野における世界最大規模の学術会議です。私は、「Activating transcription factor 5 promotes cancer cell invasion through transcriptional activation of integrins」というタイトルでポスター発表をさせていただきました。私は今回の発表が国際学会で行う、初めての発表でした。日本人以外の方と英語でディスカッションするのが初めてでしたのでとても緊張しましたが、ポスター発表を通して、アメリカ人の研究者だけではなく、世界各国の研究者とディスカッションをさせて頂きました。
今回の発表を通して、世界最大級の学会で英語によりディスカッションさせて頂くという非常に良い経験をさせて頂きました。同時に、自分の英語運用能力の低さを体感し、今後より一層の力を入れて英語能力を向上させようと思いました。ASCBでは様々な分野の方々が発表されていて、5日間を通して異分野の方々の考え方や研究の進め方などをたくさん勉強させて頂きました。異分野の発表は理解するのが難しいですが、新しい知識を沢山学ぶことができるので聞いていてとても楽しかったです。ASCBは異分野の発表だけでなく、がんに特化したセッションもあり、最先端のがん研究の知見を得ることができ、非常に有意義な5日間を過ごすことが出来ました。
今回のASCB参加を通して、普段の研究生活では得ることが出来ないことを多く学び、経験させて頂き、世界規模の国際学会に参加することの重要性を実感しました。

会場となったconvention center

おわりに

最後になりますが、このような大変貴重な機会を与えていただいた文部科学省科学研究費新学術領域研究「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流委員会の諸先生方、ならびに、事務手続等で大変お世話になりました総括支援活動班事務局の平野尚子様に心から感謝いたします。