概要・活動内容

国際交流委員会

スタンフォード大学への訪問とStem Cell Energeticsの参加報告

大阪大学大学院 医学系研究科 癌創薬プロファイリング学講座
小関 準

はじめに

私は平成26年度の「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流委員会からの助成をいただき、12月9日~11日に米国Berkeleyで開催されたCell Symposia: Stem Cell Energeticsに参加させて頂きました。また併せて7日と8日には、スタンフォード大学のStefanie Jeffrey教授の研究室とAndrew Fire教授の研究室の伺わせて頂き、有意義なDiscussionをさせて頂きました。

スタンフォード大学への訪問

John博士との記念撮影

サンフランシスコ空港到着後、その日の内にスタンフォード大学に訪問させて頂きました。初日はJeffrey教授とProcess DevelopmentディレクターのJohn Butler博士お二人とDiscussion & Dinnerをさせて頂き、翌日の朝にはLab. Meetingにも参加させて頂きました。私の専門分野が量子物理化学であることに大変興味を持って頂くことができたのと、更に私がアメリカンフットボール好きでスタンフォード大学の地元にあるサンフランシスコ・49ersの大ファンであることも重なり、お二人との会話も大変弾み有意義な時間を過ごさせて頂きました。特に初日からJhon博士とはしっかりとお互いの研究内容に関する意見交換ができたことは、私にとって最高の時間であったと思っています。午後からは、Andrew Fire教授と私自身の研究内容とこれから目指していく方向性についてDiscussionをすることもでき、アドバイスを頂けたことも大変有用な機会であったと思っております。

Jeffrey研究室の皆様と記念撮影

Stem Cell Energeticsの参加

ポスター前にて (発表直前)

今回参加させて頂いたStem Cell EnergeticsはCell Symposiaの一つであり、E. Passegue (University of California, San Francisco), M. Teitell (University of California, Los Angeles), そしてCell Pressのエディターらによってオーガナイズされた会議です。Invited Speakers 20名, Short Talks 10名, ポスター発表 97名と発表者はそれ程多くはないですが、世界で癌研究の最先端を走っている研究者が招待されており、最前線の内容を聴講できるため私自身の勉強の場としても最高の機会となったと思っております。
私はこの会議で、“Computational analysis predicts imbalanced IDH1/2 expression associate with 2-HG-inactivating β-oxygenation pathway in colorectal cancer”というタイトルでポスター発表をさせて頂きました。簡単に概要を紹介させて頂くと、一つの方向から観測すると生存率とは関係しなさそうな遺伝子であっても、それらの遺伝子群がもたらす関係性を異なる角度から観測すると、生存率と非常に重要な関係性を持つ遺伝子群が見つかったという内容です。具体的には、単独では発現量変化とOverall Survival (OS), Disease Free Survival (DFS) との間で有意性を持たないIDH1とIDH2の発現量の均衡性が崩れた (どちらか一方のみの発現量が高く、もう一方は発現量が低い) 時、OS, DFS共に有意な差で悪くなることを発見いたしました。しかしながら、こちらも単独では生存率と相関がなさそうにみえるHCDH4の発現が高ければ、IDH1/2に不均衡が発生している状態であっても生存率に改善が見られることもわかりました。このHCDH4は、“IDHによって制御されているα-KGを素に化学反応により生産されてしまう、がんの悪性度に関与する2HG”の代謝に関与する酵素であることが知られています。これらのことから私は、『IDH1/2の不均衡性が2HGの生成を誘導して生存率を悪化させてしまうが、HCDH4が2HGの代謝を促進すれば生存率に改善される』という仮説をこの会議にて提唱させて頂きました。
大変嬉しいことに多くの研究者に興味を持っていただいて発表内容についてDiscussionする事が出きたおかげで、新しく研究を発展させる為の方向性を見出す事が出来たと感じております。

おわりに

今回のスタンフォード大学の訪問とStem Cell Energeticsの参加で研究内容を英語で発表させて頂くのは、私ががん研究の分野に飛び込んでから初めての機会でした。出発前までは、今まで化学・物理にしか目を向けていなかった自分が分野を変え新しくがん研究の分野でどれだけ頑張れるのか、専門単語が全く異なる世界でどこまでPresentationとDiscussionが出来るのかが不安でしたが、実際に多くの研究者と交流することによって様々なアドバイスを頂いたり新しい考え方を学んだりと、私自身の今後の研究に生かすことができる大きなきっかけになったのではないかと思っております。

今回はこのような大変すばらしい国際交流の機会を与えて頂いた「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流委員会の先生方、並びに事務手続き等で大変ご迷惑をおかけしました「がん支援 総括支援班」の事務局の方々に心よりお礼を申し上げたいと思います。