概要・活動内容

国際交流委員会

2014 The American Society of Cell Biology Annual Meetingへの参加およびUniversity of Wisconsin-Madisonへの訪問のご報告

北海道大学 大学院先端生命科学研究院 細胞ダイナミクス科学研究室
石原 誠一郎

はじめに

私は、去る2014年12月6日〜10日に開催されました2014 The American Society of Cell Biology Annual Meetingに参加させていただきました。また、12月11日〜12日の期間にUniversity of Wisconsin-Madisonに訪問させていただきました。これらの活動に際しまして、H26年度 「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流研究者派遣事業の助成をいただきました。


研究内容

私はこれまでに、「放射線照射が引き起こすがんの悪性化」について研究を行ってきました。放射線治療は、放射線照射によりがん細胞を効率よく殺すことができる治療法です。その一方で、がん細胞の一部は放射線照射後に生き残り、より悪性度の高い細胞となることが知られています。しかし、この現象が起きる分子メカニズムは詳しくはわかっておりません。私は、細胞接着に寄与するintegrin beta1、細胞内張力に寄与するmyosin regulatory light chain(MRLC)、そして転写因子であるactivating transcription factor 5(ATF5)の3つの分子がこの現象に重要な役割を果たすことを発見しました。すなわち、放射線照射後に生き残ったがん細胞はintegrin beta1、MRLC、ATF5依存的に悪性度の高い性質を示すこと、さらにATF5の高発現ががん細胞の放射線耐性を誘導することを明らかにしました。これらの分子をターゲットとした治療法は、放射線治療との併用により高い効果を発揮すると期待されます。


2014 The American Society of Cell Biology Annual Meetingへの参加

2014 The American Society of Cell Biology Annual Meetingでは、「Lung cancer cells after irradiation indicate viability and malignancy dependent on activating transcription factor 5」というタイトルでポスター発表をさせていただきました。本Meetingは細胞生物学分野における世界最大規模の学術会議です(例年2000件以上の発表が行われています)。私のポスター発表では、「ATF5が肺がん細胞の放射線耐性・悪性化に寄与している」ことを示しました。この発表を通して、アメリカ人の研究者はもちろんのこと、世界各国の研究者と「がんの放射線耐性と悪性化」についてディスカッションをすることができました。また、本MeetingではRoundtable discussionという企画にも参加させていただきました。これは、本Meetingに参加している若手の研究者数名+PIクラスの研究者2名程度が一つのテーブルに集まり、行われる会議です。私が参加したテーブルには、アメリカ、中国、ドイツ、韓国、台湾、そして日本(私)の若手研究者が参加していました(写真は私の参加したテーブルの様子です)。この会では、今後どのように「The American Society of Cell Biologyをよくしていくか」について話し合われました。アジア出身の学生が多かったためか、「アジア等遠方からMeetingに来る若手研究者のために支援をしてほしい」といった意見が出ました。それ以外にも、国際的な交流を促進するにはどのように工夫したらよいかなどについても話し合われました。本Meetingでは、私の研究成果を発表しそれについて議論するだけでなく、国際的な交流も多く行うことができました。


University of Wisconsin-Madisonへの訪問

2014 The American Society of Cell Biology Annual Meetingに参加したのちに、University of Wisconsin-MadisonのPatricia Keely教授の研究室を訪問しました。この研究室では、がん微小環境がもたらすがん悪性化について精力的に研究が行われています。今回の訪問では、まず「肺がん細胞が放射線照射後に悪性化する分子メカニズム」について私のこれまでの研究結果をまとめて発表しました。また、私は2015年4月より本研究室に留学することが決定しております。そこでの研究テーマについても打ち合わせを行いました。さらに、本研究室のほとんどすべてのメンバーと1対1で、各メンバーの研究内容についてディスカッションを行いました。非常にエキサイティングな内容の研究ばかりでした。次年度からは私もKeely研究室の一員として、熱心に研究に取り組んでまいります。


おわりに

最後になりますが、本活動を支援いただいた文部科学省科学研究費新学術領域研究「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流委員会の先生方、また手続き等でお世話になりました同事務局の平野尚子さまに心から感謝いたします。今回の活動では、当初は予定になかったにもかかわらず、University of Wisconsin-Madisonへの訪問を加えさせていただきました。本件をご了承いただいた石川冬木先生をはじめ皆様方に重ねまして感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。