概要・活動内容

国際交流委員会

2014 IASLC Asia Pacific Lung Cancer Conference (APLCC)参加のご報告

近畿大学医学部 外科学講座呼吸器外科部門
水内 寛

はじめに

新学術領域「がん支援」国際交流海外派遣事業より助成いただき、平成26年11月5日〜9日の5日間、クアラルンプール(Shangri-La Hotel)で開催された6th Asia Pacific Lung Cancer Conferenceに参加してまいりました。

2014 IASLC APLCC

International Association for the Study Lung Cancer(IASLC)は1974年に設立され、現在4,000人以上の肺癌専門家が所属する組織です。隔年で総会が開催されますが、総会の行われない年度は各地域での支部会が開催され、今回アジア・オセアニアを中心としたAPLCCに参加しました。肺癌診療においては、この10年間分子標的治療薬をはじめとする大きなブレイクスルーがなされ、その治療標的として最も注目されているのが上皮成長因子受容体(EGFR)です。EGFR活性化変異を有する肺癌にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が著効することが2004年に報告されましたが、この変異は東アジアに多く(東アジア:40-50%欧米:約10%)、本学会でもEGFR変異肺癌患者を対象とした臨床試験の結果や基礎研究などが報告されました。

研究内容

私はこれまでに、EGFR-TKI獲得耐性のメカニズムについての研究を行ってきました。これまでにEGFR-TKI耐性獲得機序としてT790MやMET増幅、上皮間葉転換(EMT)などが知られています。一方、実臨床において、EGFR-TKI耐性後の2次治療として耐性機序に関わらず、殺細胞性抗癌剤がempiricalに使われていますが、EGFR-TKI耐性機序が次の治療に与える影響についてはあまり知られていません。そこで、これまでに樹立された様々なEGFR-TKI耐性機序を有する肺癌細胞株を親株の抗癌剤感受性を比較し、一部の細胞株でABCトランスポーター(ABCB1)の過剰発現が微小管阻害剤の感受性低下に寄与していることがわかりました。またヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を併用することによりABCB1発現が抑制され、微小管阻害剤の感受性が回復することも見出しました。本学会では一般口演のセッションで、「ABCB1 mediated cross-chemoresistance in lung cancer cells with acquired reistance to erlotinib」を発表し、Young Investigator Awardsを受賞することができました。

おわりに

最後になりますが、このような貴重な機会を与えていただきました文部科学省新学術領域「がん支援」国際交流委員会の石川冬木先生はじめ諸先生方、及び事務局の平野尚子さまに心から感謝申し上げます。