概要・活動内容

国際交流委員会

第9回日米合同がん会議に出席して

富山大学 和漢医薬学総合研究所 病態生化学分野 准教授
早川 芳弘


平成24年度新学術領域研究「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流委員会から若手海外派遣の助成をいただき、平成25年2月21日から25日までの5日間にわたりアメリカ合衆国ハワイ州マウイ島で開催された “Nineth AACR-JCR Cancer Association Joint Conference: Breack Thoughts in Basic and Translational Cancer Research” に参加する機会を頂きました。この3年に一度開催されている今回9回目を迎えた日米癌合同会議は、ハワイと言う素晴らしいロケーションで開催される会議という事もあり、かねてから一度は参加してみたいと思っておりましたが、今回がん支援班のサポートを頂く事で念願が叶った次第です。今回の合同会議は日本側が東京大学の宮園浩平先生、米国側がMITのDr. Tyler Jacksをorganizerとしてプログラムされ、keynotes speakerのDr. Sharpと間野先生の講演に始まり、非常に幅広いがん研究領域をカバーした構成で最新の研究成果についてトップレベルのspeakerからの講演が続くとても素晴らしい内容の会議でした。またこれらの講演セッションに加え、毎日入れ替わりで異なるトピックスに関して行われたポスターセッションでは、連日100題近くの発表があり、ポスター会場も(アルコールの助けもあり?)非常に熱気にあふれていました。会議の最後に宮園先生も仰っておりましたが、真冬の日本を抜け出してあの絶好のロケーション(言わずもがな、マウイ島は真冬の北陸から参加したわたしには天国でした)にも関わらず、講演でもポスターセッションでも常にたくさんの参加者が会場におり活気に溢れていました。もちろん私もハワイの誘惑に負けずにしっかりと全てのプログラムに参加をしてきました事を申し添えておきます…。


私はがん研究領域の中でも特に宿主免疫応答のがん病態における役割について研究に取り組んでいます。また、がん病態の中でも“転移”をターゲットとして主に動物モデルやインビボイメージングなどを用いて研究しております。近年、がん細胞をとりまく微小環境の重要性が注目されており、宿主免疫系はこのようながん微小環境を構成する重要な一員であります。がん転移分野のトピックスとしては、従来のがん細胞自身の転移能や転移カスケードにおける機能解析、プロテアーゼ発現制御の研究から、大きく “tumor microenvironment”と”metastatic niche”の研究にシフトしてきております。今回の合同会議でも、2日目の午後に行われた” Cancer Progression and Metastasis” のセッションではorganizerの一人でもありがん病態モデルの研究では世界でも第一人者のTyler Jacksの講演にはじまり、日本からは東工大の近藤先生がHIF-1のがん微小環境における重要性について、最後にcancer instigating theoryを数年前に発表したSandra McAllisterがその後の研究の進展をお話しされました。また翌3日目には” Tumor microenvironment”のセッションで韓国のGou Young Kohが血管新生について、Lisa Coussensが炎症について、東大医科研の坂本先生がMint3分子について、それぞれがん微小環境における重要性を示すデータを発表されました。全てのセッションについて報告していますと、このレポートが膨大な量になってしまいますので他のセッションについては割愛させて頂きますが、総じて先にもコメントしましたがどのセッションも素晴らしい講演の連続で、多くの質問や議論があり非常に活気のある会議でした。また今回の合同会議は日米の癌学会関係者のみならず広くアジア諸国からの参加者や講演者も参加されており非常に国際的な会議でもありました。
また以上のようなscientificな収穫以外にも、コンパクトな会場で5日間のプログラムを過ごす事で、日米両国から参加された若手研究者との交流をはじめ、なかなか他の国際学会ではお話しできないようなbig nameと直接お話しするチャンスがあったり、また同様に日本から参加されている普段はお話しする機会もなかなかない先生ともゆっくりお時間を取って頂けたりと、個人レベルでの交流もさせて頂く機会が多くありました。2月中旬のハワイは雨期の終わりとあって時折小雨がぱらつくものの、マウイの素晴らしい景色と海を泳ぐクジラの姿を楽しむ事もできました。プログラムが非常に充実しており、なかなかマウイの素晴らしいロケーションにも関わらず会議でじっと座っているのは悶々としなかったといえばウソになりますが、お昼休みの時間がしっかりありましたのでその間しっかり海水浴や日光浴、趣味のランニングも楽しませて頂きました。次回10回目の会議も同様にマウイ島での開催になるとのアナウンスでしたので、ぜひ次回もこれから3年間頑張って研究成果を上げて発表できるように頑張りたいと思いました。


最後になりますが、改めまして今回このような機会を与えて頂きました文部科学省新学術領域研究「がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動」国際交流委員会の諸先生、また細かな事務手続きからお世話頂きました同事務局の平野さまに心から感謝致します。


会場ホテルの様子(屋外)

写真1.会場ホテルの様子(屋外)

会場ホテルの様子(室内)

写真2.会場ホテルの様子(室内)

マウイのビーチからの眺め

写真3.マウイのビーチからの眺め