概要・活動内容

概略

文部科学省科学研究費新学術領域研究
がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動

東京大学医科学研究所 特任教授
研究代表者 今井 浩三

1981年以降がんはわが国の死亡原因の1位を占める疾患で、現在がんに罹患する生涯リスクは、男性では2人に1人、女性では3人に1人となっており、2013年には約36.4万人ががんによって死亡しております。したがって、がんという病気の予防・早期診断・個別化治療・新規の画期的治療法の開発を初めとするがん研究に寄せる国民の期待は非常に大きいものがあります。
当初、研究代表者をおつとめだった中村祐輔教授のアメリカ・シカゴ大学転出に伴い、今井浩三が平成24年4月1日から研究代表者として、この新学術領域研究を担当させていただいております。がん研究の支援ならびに、それを通した国民への貢献を考え、これまでにも増して、支援活動を展開させていただきます。

「がん研究の特性等を踏まえた支援活動」は、これまでがん特別研究・がん特定領域研究が果たしてきた活動の中で、国内のがん研究者の連携と交流を図るとともに、共通基盤的な分野での支援を行うもので、バーチャルな研究所という理念を維持しながら運営を行っています。新学術領域や基盤研究で、がんや腫瘍をキーワードとして採択される研究者間の連携を図るとともに、個別研究として国際的な研究成果を生み出すための支援の仕組みを構築します。また、ボトムアップの研究成果を予防・診断・治療へと社会に還元するためのバックアップを行います。 さらに、最近は、がん研究のみならず、広く生命科学基盤研究に携わる研究者にも支援をさせていただいております。

下記の5項目を主要目的としております。

  1. 幅広くボトムアップ型個人研究を要素としつつも、機動的に連携を図り、バーチャルな研究所のように機能し、世界的な成果をあげる仕組みを構築する。
  2. 新学術領域や基盤研究などに採択された生命科学研究者の交流・連携を図る。 若手研究者、次世代の研究者の育成事業を積極的に推進する。海外のがん研究者との交流を積極的に支援する。
  3. 国民の皆様に、がん並びに生命科学研究に対する理解を深めるような広報活動を行う。
  4. 長期的な視野に立ち、わが国にとって重要な研究領域の支援・育成を行う。たとえば、がんなどの疾病の予防に向け、疫学研究などの長期間の一貫した活動が必要な研究領域を支援する。
  5. 基礎研究の成果が、疾病の予防・診断・治療に速やかにつながるような研究体制を構築する。

本活動は、6つの支援活動から成ります。総括支援活動では、支援活動全体のバックアップ体制を図るとともに、企画委員会、国際交流委員会、若手支援委員会、広報委員会を組織して、研究者間の情報交換・若手育成・一般社会への発信・人的交流を進めます。個体レベルでのがん研究支援活動では、マウスを中心とする実験動物を用いた研究の技術的支援を行います。広く生命科学研究者の要望にも対応させていただきます。がん疫学・予防支援活動では、長期間にわたる継続が必要な分子疫学コホート研究の支援を行うとともに、検体を中心とした研究の促進、予防介入研究、国際疫学共同研究を相互に関連付けながら効率的に実施します。また、他の先進国では感染者が少なく、組織立った研究が行われていないATL研究に関し、わが国では長年行われて来た基礎・臨床・疫学研究について、各々が密接に連携した活動を支援します(この分野は、平成27年度をもって、支援を終了いたします)。臨床診断研究支援活動では、がんの基礎研究によって得られた研究成果の中で臨床応用への可能性が示唆される候補を、研究者間ネットワークを迅速かつ動的に構築することで、多数の患者資料を用いて検証研究が可能となるような基盤を構築します。化学療法基盤支援活動では、新規抗がん剤開発を行う研究者に、細胞レベルからin silicoまで、多彩な活性スクリーニング基盤を提供して、国内での革新的がん治療薬開発の支援を行います。ゲノム・エピゲノム解析支援活動では、がん関連遺伝子変異の高深度解析、DNAメチル化解析、microRNA発現解析による支援を行います。

最後になりますが、がん、あるいは生命科学を研究される皆様には、本支援活動を積極的に活用されることで、ご自身やグループの活動のさらなる発展に役立てるとともに、一般社会に対して研究の成果や内容を発信し啓発活動を行うことで、国民の皆様との科学・技術に対する対話を推進して頂くようお願い致します。また、本ホームページにアクセスされる一般の皆様には、研究紹介等を通じてわが国におけるがん・生命科学研究の現状・成果の一端でもご理解を深めて頂き、研究及び研究者に対して更なるご支援・ご協力を賜りますようお願い致します。


概略図